中国EVメーカー”NIO”とは?クッキーを販売?モデルから販売台数、交換式電池まで全解説

新興メーカーが続々と参入。

 
世界のEV市場では、日本の自動車メーカーは、海外の自動車メーカー(メルセデスやBMW等)だけではなく、今回ご紹介する新興EVメーカーとの競争が既に始まっています。
 
この記事では、中国を拠点にしている新興電気自動車メーカーであるNIOを解説していきます。
 

NIO(ニーオ)とは?

最近、株価の高騰等からも、日経新聞等でも取り上げられることが増えてきた中国EVブランドであるNIO(ニーオ)ですが、どういう車を販売しているのでしょうか?
 
NIOの創業は2014年で、量販車の販売も非常に短い時間で達成し、2018年9月にはニューヨーク証券取引所に上場しております。
(2022年3月には香港にも重複上場)
 
ブランディングに非常に力を入れているブランドでもあり、中国版テスラとも呼ばれています。
 
ブランドコンセプトは、”Blue Sky Coming”というワードで、大気汚染がない、青空の広がるサステイナブルな未来を作りたいというビジョンを掲げています。
 
 
また、NIOは2021年から海外展開を強化し、ノルウェー市場に進出。
 
2022年にはドイツ、オランダ、スウェーデン、デンマークへの進出を計画しており、商品力にかなり自信を持っていることがうかがえます。
 
ヨーロッパを手始めに、2025年までに25以上の国・地域に進出する計画を持っており、地理的に近い日本にも輸出される可能性が高そうです。
 

NIOの販売ラインアップ

“ES8”

“ES8″は、NIO初の量産モデルとなるプレミアムSUVです。
2018年央から納車を開始している、NIOのフラグシップモデルです。(6人 or 7人乗りが選択可能)

気になる車両スペックは、最高出力400kW、最大トルク725Nm、0~100km/h加速は4.9秒です。航続距離は、580kmまで走行可能です。
(航続距離はグレードによって、415km/485km/580kmが用意されています。)

ES8のノルウェーでのCMですが、スタイリッシュな印象です。

“ES6”

“ES6″は、2018年12月に発売開始された、NIO量産車第2号となるSUVです。(ES6は5人乗り)
“ES8″と基本的なアーキテクチャは一緒ですが、ES6はより小さく、重心も低く設定されていてスポーティな仕上がりになっています。

価格もES8よりも安価に設定されており、NIOラインアップでも、最も売れているモデルになっています。

NIOは、電気自動車のF1と呼ばれる、フォーミュラEにも参戦しており、スポーティーな電気自動車作りにも注力しています。

“EC6”

“EC6″は、量産モデル3車種目となるSUVクーペです。2020年8月に販売が開始されました。

“ES6″・”ES8″は、ピュアなSUVでしたが、”EC6″はよりルーフラインが低く、クーペライクなSUVになっています。中国での補助金受給前の価格は、約555万~793万円となります。

EC6のバッテリー容量は70kWh、100kWhから選択でき、航続可能距離は最長615kmになります。

“今後発売されるモデル”

NIOは2022年に相次いで新型車を投入する予定で、1月に中大型セダン”ET7″、9月までに中型セダン”ET5″を発売する予定です。
いずれも自前で開発した全個体電池を搭載し、1回の充電での航続距離が1,000キロメートルを超えるモデルをそれぞれ用意すると発表しています。
 

“ET7”

“ET7″は、NIOで初めてのセダンタイプの電気自動車となり、価格は約800万円から。
頭に先進的な自動運転に利用されるセンサーが搭載されており、デザインはかなりかっこいいです。
先進的な機能が盛りだくさんで、正に次世代の車といった商品になりそうです。
 

“ET5”


“ET5″は、”ET7″の下位に位置付けられているモデルで、NIOで最も低価格の製品になる見込みです。
2022年9月頃の納車が予定されています。

中国ではテスラモデル3が良く売れていて、”ET5″は”モデル3″と競合になることは間違いないでしょうし、販売価格も”モデル3″の価格を意識した値付けがされるはずです。

NIOの販売台数実績:実際どのくらい売れているの?

なんか車も凄そうだしかっこいいけど、どれぐらい売れているのかという点ですが、
NIOが2018年に”ES8″を販売開始してからの、年毎の販売台数の実績を纏めたものが以下表になります。
(2018年は、2018年1月~12月の販売実績)

*evyyyが独自に作成。
 
初年度から約13,000台販売しており、その後は毎年2倍成長という、驚異的な伸びを見せています。
2019年から発売開始した、比較的安価なSUVである”ES6″の売れ行きが、特に好調です。
 
昨年、2021年には、NIO全モデルでの販売台数が9万台を超えており、大台の10万台に達成するのも時間の問題でしょう。
 
因みに、日本のEVの年間販売台数は、大体約2万台なので、NIOの販売台数はそれ相応の台数だと言えそうです。
 
 
ここまで急速に販売を加速できた一つの要因は、NIOが自社で工場を持たず外部企業に生産委託していることによるものです。
 
既に生産能力があるメーカーに生産を依頼することで、一から工場を作り生産体制を整える時間を削減することが出来ます。
(NIOは、同じ中国の、JACモーターというメーカーに生産を委託)
 

車以外でも、付加価値を。

交換式電池(Battery Swap)

個人的意見ですが、NIOで最も素晴らしい点は、交換式電池を装備し、実際に交換ステーションの数が増えてきていることだと思います。

実際の交換の様子を見ていただくのが早いと思いますが、バッテリーを充電するのではなく、充電されたバッテリーに差し替えるというアプローチを取っています。

充電するよりも、圧倒的に早く、待ち時間が短くてすみます。
実際、5分程度でバッテリーのスワップが完了するようです。

驚くべきことに、NIOは2021年末に、NIOのバッテリー交換ステーションが700カ所を突破し、2020年末と比べ11倍近くに増えたと発表しました。

NIOのステーションは31省・自治区・直轄市の全てをカバーしており、NIOによると、ステーションは平均2万回以上/日、多い時で約18万回以上/日のバッテリー交換に対応しているそうです。

NIOは設置数を、2025年末までに世界で4,000以上、うち1,000カ所は中国以外に作る目標を掲げています。

服・クッキーも売る車メーカー

NIOはアパレルやクッキー等も売っています。
車販売以外でも、ブランドに付加価値をつけて、ブランドイメージの向上を図っています。
(以下はNIOのHPから)

NIO購入者だけのサロンも

NIOオーナーだけが利用できる”NIOハウス”は、コワーキングスペース、お洒落なカフェ、図書館等を備えており、
ハイステータスで、NIOのオーナーになることへの自尊心をくすぐるようなものになっています。

基本的には無料で利用可能で、イベント等が行われる日もあるみたいです。
(確かにかっこいい、、、)

最後に、、、

いかがでしたでしょうか?
NIOはEVの完成度が高いだけではなく、バッテリーを含めた、車以外のところでの価値創造が非常に優れているブランドだと感じました。
 
2022年にはヨーロッパでの販売を開始するということで、EV成長市場かつ消費者の目が肥えている、ヨーロッパでどの程度NIOがメルセデスやVW等の巨人達と戦えるか、要注視です。
 
日本でも発売される日はそう遠くないのではないでしょうか?
 
今後も、海外のEVブランドをブログで定期的にご紹介していきたいと思います。
 
 

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