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新興メーカーが続々と参入。
世界のEV市場では、日本の自動車メーカー(トヨタやホンダ等)は、海外の自動車メーカー(メルセデスやBMW等)だけではなく、今回ご紹介する新興EVメーカーとの競争も既に始まっています。
この記事では、アメリカを拠点にしている新興電気自動車メーカーであるリビアンを解説していきます。
リビアン(Rivian)とは?
最近、日経新聞等でも取り上げられることが増えてきたアメリカのEVブランドであるリビアン(Rivian Automotive)ですが、どういう車を販売しているのでしょうか?
リビアンの創業は2009年で、当初は高級クーペタイプの電気自動車開発を進めていた企業です。
しかし、テスラの大きな躍進、BMW・アウディ等の高級車メーカーが参入してきたこともあり、現在は電動SUV・電動ピックアップトラックといったオフロード向け大型EVにしぼった戦略を取っています。
公式HPを見ても、冒険やアウトドアというイメージを前面に押し出したHPになっており、そういうブランドイメージを植え付けて、車にも付加価値を付けていきたいのだと思います。
日本ではあまり馴染みがありませんが、アメリカやオーストラリア等の海外では、SUVは勿論のこと、ピックアップトラックという、プライベートでも使えて仕事車にもなるタイプの車が大人気です。
また、ピックアップトラックや大型のSUVは自動車メーカーからしても利益率が高いモデルの為、各社とも非常にピックアップトラックの開発・販売に力を入れています。実際、テスラも”サイバートラック”というピックアップトラックの開発・販売を非常に重要視しています。
リビアンの販売ラインアップ
リビアン製ピックアップトラック:”R1T”
“R1T”は、4WDの5人乗りピックアップトラックです。アメリカでは既に購入が可能ですが、2021年内は、”R1S”と併せて900台以下の納車にとどまり、大部分は2022年度中の納車が予定されています。
価格は67,500ドルスタートで、日本円にすると、約750万円です。
気になる車両スペックは、最高出力597kW、最大トルク900Nm、0~96km/h加速は3.0秒です。航続距離は、10,000ドルの追加オプションを付けることで、644kmまで走行可能です。
ピックアップトラックといえど、トラックとしては信じ難いレベルの走行・加速性能になっています。
車両重量は3,100Kgと3トン越えの重さにもかかわらず、高い走行性能を実現している1つの要因は、モーターを4つ積んでいることです。
各タイヤそれぞれのモーターで駆動し、合計4つのモーター(Quad-Motor)を搭載しているのは正直かなり驚きです。
(通常の乗用車のモーター数は1つか2つです。)
(通常の乗用車のモーター数は1つか2つです。)
(下は実際に走行している映像)
車体もかなり迫力がある一方で、内装等はかなり高級感があるものになっています。
ピックアップトラックが元来持つ”無骨さ”と電気自動車ならではの”洗練さ”がうまく調和されていて、非常にかっこいいです。
リビアン製SUV:”R1S”
“R1S”は”R1T”のSUV版です。”R1S”と”R1T”は共通のリビアン開発のEV専用プラットフォームを使用しています。(スケートボード・プラットフォームという名称)
価格は70,000ドルスタートで、日本円にすると、約800万円です。
スペックに就いては、”R1T”と共通のプラットフォームを採用している為、基本的には”R1T”と同程度の水準だと予測出来ます。
但し、航続距離を伸ばせるバッテリーオプションはR1Sには付けることが出来ません。
SUVはピックアップトラックよりも、ボディサイズが短いのがその原因です。
ボディサイズは”R1T”よりも短くはなっていますが、全長5,100mm、全幅2,078mm、全高1,963mmとかなり大きいSUVになります。
国産車最大サイズのレクサス LXよりも大きなSUVなので、実際に見ると相当な迫力があるはずです。
乗車定員は、2列5人乗りシートと3列7人乗りシートが選択可能です。
リビアンの他企業との関係&今後について
リビアンは、名だたる大手企業からも出資を受けていて、2019年にはアマゾン・フォードからの出資も報道されました。
日本からは住友商事が出資をしています。
アマゾンは単なる出資だけではなく、リビアン製バン(アマゾンと共同開発)での配達を計画しており、2030年までに10万台のリビアンEV車を使用すると発表しています。
(その後、2022年1月には、アマゾンがフランスの自動車メーカーであるステランティスと配送用EVで協力すると新たに発表し、リビアンの株価が急落しました。)
上は、リビアンとアマゾンが共同開発したEVバン
また、フォードもリビアンとEVの共同開発を進めていました。
リビアン自慢の”スケートボード・プラットフォーム”と呼ばれる車台を使用し、フォードはSUVやピックアップトラックの販売を考えていました。
わかりやすく言うと、リビアンが製造した車にフォードのバッジ・簡単な改造を加えて、フォードの車として販売するということです。
リビアンからしても、フォードのプラットフォームの製造を請け負うことで安定した収益を生み出せるメリットがありましたが、2021年11月に両社の共同開発計画は取りやめになっています。
フォードからも”F-150ライトニング”という新型EVピックアップトラックが2022年春に販売される予定で、リビアンとはバチバチの競合関係にあるのが取りやめになった理由だと思われます。
今後、注目されるのはリビアンがEVの生産台数規模を拡大できるかという点です。
2021年は自動車の半導体供給不足等もあり、2021年のリビアン生産台数は1,015台に留まりました。
現在は、2017年1月に三菱自動車から取得した、米イリノイ州にある工場のみの生産となっていますが、2021年には、2つ目となる完成車工場を米南部ジョージア州に建設すると発表しています。
また、イギリスでの新工場の建設も検討しているようです。
テスラもEV生産の拡大に相応の時間を要していた為、どこまで生産能力の拡大をスピード感を持って出来るかが、今後のリビアンにとって非常に重要になるでしょう。
競合他社からも、各社のピックアップトラック電気自動車が2022年~2024年にかけて順次投入されてきます。
GMからは”シルバラードEV”(2022年春発売予定)、フォードからは”F-150ライトニング”(2023年販売予定)、そしてテスラからは”サイバートラック”と、この熾烈な競争環境の中で、リビアンがどれくらい存在感を示せるかも要注目です。
(2022年春販売予定のフォード電気自動車:F-150 ライトニング)
最後に、、、
いかがでしたでしょうか?
個人的な意見ですが、リビアンのピックアップトラックは本当にかっこいいと思います。
車両スペックも素晴らしいですが、武骨な感じがありながらも、内装を含めたデザインに高級感があり、海外セレブの方々に非常に刺さりそうな1台だと感じます。
海外にはリビアンのように面白いEV専業ブランドがいっぱいあります。
今後も、海外のEVブランドをブログで定期的にご紹介していきたいと思います。
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